“門松や 冥土の旅の 一里塚 めでたくもあり めでたくもなし”(一休宗純)
人間は門松をくくるたびに一歩一歩「死」に近づいている。だからお正月だといって浮かれてばかりはいないで、正月は心を引きしめるいい機会である、と世の中を皮肉って風刺したのが、一休禅師であります。
日蓮聖人は、世間の情のままに、“花の如く開け 月の如く明らかに” と、正月という心あらたまった人間の心理に即して、満月のようなおおらかな心情を持ちなさいと示されております。私たちは、「まあまあ正月だから、もめごとはよそうよ」などと言いますが、これをいいかげんな妥協というのではなく、「心をまるくする」ということを強調されているのです。
平成30年元日
日蓮宗本山 池上 大坊 本行寺
住職 中野日演