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2016年01月01日
檀家の皆さまへ

《2016 新春のご挨拶》ありのままに、あるがままに

昨年完成した客殿玄関正面に「清宵」という題名の絵が飾られています。既報の通り、日本画家・中村宗弘氏が奉納された大作であります。

「清宵(せいしょう)」とは、夜気のさわやかな宵ということであります。定かではありませんが、中村先生は『雨月物語』に出てくる「清宵」のイメージを求めたのでしょうか?

江月照松風吹(こうげつてらししょうふうをふく)
永夜清宵何所為(えいやせいしょうなんのしょいぞや)

江に映る月、松林に打ちつける風、永く感じられる夜、夜の気配を感じるさわやかな宵も何のためにあるのかという問いに対して、そのこと自体が天然であり、自然そのものであると、この詩は歌っているのです。それは飾りもない、作られたものでもない、ありもままの姿であり、あるがままに生きるということでありましょう。

人が生きていく間には、悲しい時もうれしい時もあるのは当然のことであります。悲しい時もうれしいときも、あるがままにそのままに受け止めることを仏教では教えています。そのことを日蓮聖人は『四条金吾殿御返事』の中で「苦をば苦とさとり楽をば楽とひらき苦楽ともに思い合わせて南無妙法蓮華とうち唱えいさせ給え」と示されております。

今年も様々出来事が起こるでしょう。あなた自身にも苦悩や楽しいことが起こることでしょう。何があっても、それはそのまま、そのまま自然に素直に受け入れる姿勢をおすすめいたします。

平成28年元日

日蓮宗本山 池上 大坊 本行寺
住職 中野日演

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